06  グランツ海上空

 ラウス中佐は北へ向かった敵機をすぐに追撃したが、牽制が凄まじく中々先頭の新型機の敵編隊に辿り着けないでいた。その内残弾も少なくなり、彼1人では敵機を撃とせず、状況は追い詰められていった。
 あの敵機を1機でもラダン連邦への侵入を許し、都市の上空で自爆してしまえば祖国は確実にラダン連邦の報復を受ける。
 先ほど、LBX-01を墜としたメサリナ軍機も自国の脅威ではないと判断したのだろうか。後ろからは来ない。
 1人で足掻き、その内機銃弾を数発くらった。そして、直後複数機からロックオンされる。

 ――もう限界か。祖国を守れないのか。

 そうあきらめかけた。だが、自分を狙った数機は、後方の上方と下方から接近したメサリナ軍機に撃破された。

 ――!? ……遅いじゃないか。

 前を見ると、メサリナ軍機と敵の新型UCAVの間にガードに入ったLx-01の機体がある。

 ――こいつらに託す。こいつらなら……

 そう直感的に判断し、ラウス中佐は愛機に残されたミサイルを全弾、邪魔しているLx-01に向けて放った。



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