05  グランツ海上空

 かつて人は強力な兵器を手に入れ、それを躊躇なく使用した。
 バグラート戦争でラダン連邦は大量の核兵器を所持し、核を持たない敵国に躊躇いなく撃ち込んだ。ルージアを含む多くの国が被爆し、数多の犠牲と怨嗟を残して戦いはやがて終わった。かつてレイローグへの核攻撃で家族も肉親もすべてを失い、それ以来復讐に生き続けた男が何を完成させ、それに何を託したのか。それは、まだ誰も知らない。

 ――02:00:00、01:59:59、 01:59:58……

 カウントダウンは、いまだに止まらない。

 ウォルカー・ラウス中佐の部隊は、突如暴走した無人機部隊の後方の攻撃部隊の合流を待ち、再度の攻撃を掛けたが、いまだに事態に対処出来ずにいた。
 ルージア側も当然、無人機に対する対抗策は持っている。電子戦機を持ってジャミングを掛けた。だが、UCAV部隊の編隊の中心に位置する電子戦型のLBX-01のECCMによってそれは無効化されてしまった。
 ならば、LBX-01を排除するしかない。しかし、最初に攻撃を試みたLx-01の無人機部隊はどういう訳かすぐに戦闘をやめて反乱したUCAV部隊の方に取り込まれてしまった。そして、その後も攻撃を試みた無人機部隊はことごとく反乱部隊の側へ渡ってしまい、無人機による攻撃は断念される。
 この時点で反乱したUCAV部隊は敵と認識され、有人機部隊に攻撃に切り替えられたのだった。
 勢力が膨れ上がり、今や二百数十機の編隊はルージアの制御を離れ、北進している。目的は分からない。しかし、カウントダウンはいまだに全周波で発信されていた。



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