05  エレラルド海

 敵の第3波飛来の報。そして、数分と経たない内の左翼を防備していたエルニアス艦隊と電子戦機との交信途絶の報で「エクテシア」の艦橋は青ざめた。



 敵の第3波は信じられない程の巨人機の部隊であり、それらは防御の砲火もものともせずに左翼の艦隊に接近し、艦艇と友軍機に集中砲火を浴びせて壊滅させたという。既に3隻の護衛艦、左翼のエルニアス空母「ラバスヴォーグ」が轟沈。他多数の艦艇が大破炎上。

 艦隊殲滅用の掃射機型と思われる敵の巨人機の編隊はさらに艦隊中央の主力に接近し、ジャミングの枷が外れたUACV部隊もそれに続いた。
 そしてさらに第4波の報。巨人機の別働隊が前衛の第2機動艦隊にも迫った。

 決断が迫られた。もう一刻の猶予もない。
 ウィーグラッツ少将は重い面持ちの顔をグレイスに向け、ゆっくりと頷いてみせたのだった。

 新しい命令が下された。

 ――各隊は隊長機を掩護し、指定ターゲットを各個に特殊弾頭で攻撃せよ。

 「エクテシア」の航空部隊は、前方と左翼から中央の艦隊主力に迫るターゲットへと二手に分かれて新しい動きを見せた。
 アランたち「エルーフェ」隊はコストナー大尉の「ジェラール」隊とともに前方の敵に当たった。敵機を排除しつつ前進し、ルージアの巨人機が射程に迫った。



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