04  グライツ海上空

 人と人とが戦う戦争がこの戦争では人と機械との戦争になった。ルージア軍はLx-01以外にも多種多様なAI兵器、無人兵器を戦場に投入している。

 先の大戦で国土が焼かれたルージアのその復興と共に育った技術はとんでもないものたちを造ってしまった。人の管理を離れ、すべての事を例外なく合理的に判断し、冷徹に任務を遂行する機械たちを……
 それらの兵器は効率がいい上に人的損失も抑える事も出来るだろう。だが、それでも政治の延長で人が起こした戦争をそれらに肩代わりさせていいのか。
 いつの時代も、起こすのも撃つのも撃たれるのも人間であったのに。戦いのたびに傷つき、復興の後にまた戦いを起こす。それを繰り返して来たのもまた人間であるのに。

 ――戦うのは人間であるはずだ。だが、戦いは変わってしまった。

 先のティオニア国際研究都市に対する原因不明の発砲の事も気がかりだった。あの機械たちが完璧であるかどうかさえ、まだ不明瞭な部分も多い。
 そんな中で、今回の無人機部隊との共同作戦である。

 そう不満を抱えつつ、開戦から有人機部隊の中で最も多くの撃墜数を誇るラウス中佐の第8戦闘飛行隊を含めた部隊は、ヴェリネ島西部のグライツ海上空で各方面からの部隊と合流した。Lx-01の2個独立航空団を主力とした、爆撃機、攻撃機、後詰めの任務を与えられた数個の有人機部隊を加えた百数十機の編隊は、一路北東のイニア島南部を目指す。



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