05  エレラルド海  空母「エクテシア」

 敵のUCAV部隊を含めた敵の大編隊がクルス・オクタゴーノへと向かっている。
 あの黒い機体に再び相見える時がやって来た。これで、あの日の借りを返す事が出来る。ブリーフィングでそれを聞いた時、思わずそう考えた。シェイファー少佐に釘を刺された事も頭にはあったが、やはりそう考えてしまった。おそらくそれはウィリーも同じだったろう。
 もうあの日とは違う。状況も自分たちも。
 クルス・オクタゴーノも仲間も守り、敵を圧倒してこの「エクテシア」に帰ってくるのだ。
 そういう思いと共にアラン・フォスターとウィリー・タイラーは艦から出撃した。



 クルス・オクタゴーノは、現在の連合軍のディナル=モア防衛戦略の要である。ティオニアの核貯蔵施設がルージアの手に落ちた以上、連合軍は常に敵の核攻撃の脅威にさらされる事となった。
 しかし、その中距離弾道ミサイル(IRBM)での攻撃を抑止しているのがこの戦略拠点なのである。



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