06  エレラルド海  空母「エクテシア」甲板

 「エクテシア」の甲板にウィリーと上がった。
 すると、任務を終えた2機のF/A‐47が着艦しているところだった。

 シェイファー少佐の第316戦闘攻撃飛行隊のスカルのエンブレムの機体。
 この空母「エクテシア」の第2空母航空団の主戦力は、F/A‐47を装備した4個の戦闘攻撃飛行隊で搭乗員も海軍内で選りすぐられたエース達である。「ジェラール隊」はその中核となる部隊であった。そして、ロバート・シェイファー少佐は彼らをまとめる存在でもある。

 「エクテシア」に帰還した「ジェラール隊」のF/A‐47の片方に目をやると、パイロットがヘルメットをとり、長いブロンド髪をなびかせて艦に降り立った。
 女性パイロットのようだ。エースの中では珍しい。じっと見ていると、それに気づいたのか彼女はまっすぐアランとウィリーの方に向かって来た。
 思わず2人は姿勢を正し、その女性の大尉に敬礼したが、軽く返礼した後すぐに彼女は彼らを睨めつけた。
 ブロンド髪の女性パイロットは、新入りのアラン・フォスター中尉とウィリー・タイラ―中尉を値踏みするように眺めながらこう発した。
「ここに来たからには、己の持つ技量で敵を圧倒する事とすべてを守る事、そして必ず帰還する事が義務である」と。
 そして、最後にこうも言った。
 「貴様らの前任者は、最後の義務を守れなかった……」と。
 終始、棘ある口調の言葉を2人に浴びせたティア・コストナー大尉だったが、最後の言葉のときはどこか愁然としているようにも感じられた。



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