07  ルージア連邦首都ラスノダ―ル  国防省

 ルージア本土、国防省の一室で2人の男が話している。部屋は日があるにも関わらずカーテンが閉められ、明かりはつけられていない。薄暗い部屋で話しているのは、ルージア軍の重要人物で1人は背広を着た科学者、もう1人は制服を着た将官だった。

 将官は、科学者にたずねた。
 「何故君のAI兵器はティオニアを無差別に爆撃したのか」
 と。

 科学者は答える。
 「あそこに敵がいたからですよ」

 将官はそれに驚いて言った。
 「敵? あそこにいたのはほとんど民間人だったんだぞ 脅威もなかった」
 と。

 科学者は、それに淡々と返す。
 「いたのですよ。我々の障害となる敵が」
 と。

 将官はそれに
 「我々が侵攻したのは何もティオニアだけではない。他の都市ではなかった事が何故あの都市で行われたのか」
 と、尋ねた。

 科学者は
 「だからあそこには我々の敵がいたのです」

 将官は、それ以上言わず黙る。
 確かにティオニアには若干のメサリナの地上部隊が防備に入っていたと報告は受けている。しかし、他の都市を攻撃したUCAV部隊は完璧にターゲットだけを攻撃し、市民への積極的な攻撃など行っていない。
 AIを組み上げたこの男が何かしたとしか思えない。だが、この男は同じ事しか言わない。

 将官が何も言わなくなると、科学者の男は黙って部屋を出ていこうとした。将官は、それを制しようとしたが、科学者の男は構わずその薄暗い部屋を出ていった。



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