03  フィルド共和国北部シュテイル市  メサリナ難民キャンプ

 1週間が経った。
 あの悪夢のような日から1週間。まだ、あれが現実とは受け入れがたい。

 戦争が始まったのだ。再び、このディナル=モアで……

 ルージア連邦軍は、突如としてディナル=モアの保護を理由にエルニアス連邦、メサリナ共和国に宣戦布告したのだ。以前からルージア連邦側とエルニアス連邦、メサリナ共和国などのバルディナ諸国側は、ディナル=モアを巡る資源、領土、国際保護区、駐留軍などの問題で対立を深めていた。だが、よりにもよって今、戦争が始まるとは……

 緒戦において、高い技術力と兵力に勝るルージア連邦軍はことごとく勝利し、エルニアスとメサリナの在フィルド駐留軍は各所で突破され、後退を余儀なくされていた。
 ルージア空軍は特に精強で、すぐにディナル=モアの南部、中部とその制空権を奪っていった。中でも史上初めて本格的に投入された無人機(UCAV)部隊は、バルディナ諸国の駐留軍を圧倒した。
 そして、その無人機部隊の猛威は軍だけにとどまらず、一般市民にも向けられた。

 9月14日、ティオニアを襲った悲劇。
 ルージア空軍のUCAV部隊は、市の郊外でメサリナの航空部隊を墜とすだけに留まらず、その街を無差別に爆撃したのだ。犠牲者の数はまだ詳細はわかっていないが、3000以上とも言われ、今も増え続けている。一般市民がである。



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