01  エレラルド海  空母「エクテシア」

 「前、見ていた空はもっと奇麗だったの……」
 少女が突然、そうつぶやき傍らの2人は驚いた。
 か弱く、ぎこちない声。確かにそれは少女が発した声だった。




 「CIELANTIDE…… 本当に静かで、奇麗な空はそういうの。でもあのソラは今、見れないの…」

 数年前の確かバグラート戦争終結の10周年に流行った言葉。
 戦争はなく、レールガンによる迎撃もなく、そして空で戦いもない平和な時の言葉だ。
 「あのソラをまたみたい」
 少女はそう言って、未だに苦み混じりだが確かに笑顔を2人のパイロットに向けた。

 久々に見た少女の笑顔。
 彼らはそしてその言葉に深く頷き、少女と約束を交わした。
 戦いはまだ終わっていないのだ。
 この下らない戦争を早く終わらせる。その思いとともに彼らは少女と空を見つめた。



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