02  フィルド共和国  ティオニア郊外上空

 アラン・フォスターが所属するメサリナ海軍第7航空団は、首都リノーから南西の国際保護区であるティオニア防衛のために投入された。ルージア空軍は、特にこの地域に新型のUCAV部隊を大量投入し、早急な制空権確保をはかった。新鋭ステルス無人機のLX-01を中核とした部隊は精強で、第7航空団は次々と撃墜され、制空権を奪われていった。

 アラン・フォスターは、味方が圧迫される中でも、敵の新型機3機を愛機のF/A-31Cで撃墜した。
 大した戦果だが、個人の力では戦況は変えられない。
 物量に圧倒され、ティオニアへの敵機侵入を許してしまい、街は敵の爆撃にさらされた。そして、敵は街を無差別に爆撃したと報を受けた。空の上で全員が街を守れなかった事を悔やんだが、実際は皆、敵のUCAVとの戦いがやっとであった。
 とらえづらく、動きは予測不能。人技ではない機動をし、さらに、1戦域に大量に投入され、必ず複数機で単機に襲い掛かり、確実に堕としていくのだ。そんな敵の無人機の前に味方は、1機、 また1機と撃墜されていった。

 制空権維持が困難になり、 撤退命令は既に出されていた。 だが、その命令を伝えた直後、AWACS(空中管制機)が 撃墜され、生き残った部隊は指示が受けられなくなり、混乱した。
 既に戦域の制空権はルージア空軍に掌握されつつある中、 撤退ルートはわからず、散り散りに逃げ回るしかない。



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