03  フィルド共和国  首都リノー上空

 ――どうしてだ!?

 ラウス中佐は、思わす目を疑った。今までどうしても墜とせなかった敵の新型機を撃墜した新型UCAV――Lx-02が友軍機に襲い掛かったのだ。まず、血祭りに上げられたのが、さっき墜とした敵の新型を追いつめていた自分の部下。全く予期しないところからの攻撃にルージア最強部隊のRev-53Dが簡単に墜ちた。

 ――一体、何が起きている?

 誰もがそう困惑している内に無人機部隊は両軍の有人機を無差別に襲い掛かった。
 消耗した両軍の有人機部隊。
 その双方の数よりも第501、502、503独立戦闘航空団は多い。さらに突然の奇襲で連合軍もルージア軍もともに崩壊した。

 ――全軍撤退セヨ。

 両軍の司令部は、ほぼ同時にその命令を下した。

 ――ジブンノテキハワレワレノテキ。ワレワレノテキハワレワレイガイ。テキハスベテハイジョ。

 無人機部隊からの全周波での通信。そして、電子音の声。

 ――08:00:00、07:59:59、 07:59:58……

 そして、始められるカウントダウン。
 不可解な発信。無人機の圧倒的な強さ。
 それを聞いた者は、誰もが不吉な予感にかられた。

 ――止めなければならない。

 アランは直感的にそう思った。だが、後ろを任せられる仲間を失い、状況もわからない。



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