03  フィルド共和国  首都リノー上空

 2032年6月。再びヴェリネ島に上陸し、反攻を開始した連合軍は遂にフィルド共和国首都リノー攻略戦を開始した。そして、その作戦にアラン達第2空母航空団も投入されていた。



 エレラルド海の戦いの後、ルージア連邦にはその圧倒的な空軍力はなく、次第に連合軍に押されて戦線を後退させていった。だが、ルージアは度重なる敗戦で失われた通常戦力を本国からの無人兵器で補強し、前線へと投入した。そして、制空戦で幕を開けたリノー攻防戦は有人機部隊と無人機部隊――人と機械の壮絶な戦いとなった。
 首都リノーの空は、再びルージアの無人機で覆われた。だが、それに挑む連合軍の機体はそれ以上に空を覆った。

 ――もう、あの日とは違う。

 5機目のLx-01を撃墜し、アラン・フォスターはそう思った。
 ルージアのUCAV部隊は、友軍に次々を撃とされていった。敵の回避パターンの解析、さらに高度なジャミング、投入された敵に対する3倍の航空兵力。すべては準備され、対処された。
 新型の愛機F/A-51の能力も相まってアラン達エルーフェ隊、そして、第2空母航空団は連合軍の中心となって敵を圧倒した。
 戦場に既に”敵”はなく、砲声は次第に止んでいった。しかし……

 多数の有人機部隊と共にウォルカー・ラウス中佐のグラージュ隊は制空権を確保しつつある連合軍に急襲を掛けた。敵の数は圧倒的だが、ここで敵を食い止めなくてはならない。それに遂に現れたおもちゃの邪魔の入らない人同士で戦場だ。そして、エレラルド海の戦いで核を放ったあの因縁の部隊もいるようだ。

 ――すべてに決着をつける。

 ラウス中佐とグラージュ隊の隊員達は、その思いと共に敵を求めて戦場に入っていった。



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