03  エレラルド海  空母「エクテシア」格納庫

 「エクテシア」格納庫内で愛機のF/A-47に核弾頭ミサイルが搭載されていくのをアラン・フォスターは相棒のウィリーとともに複雑な面持ちで眺めていた。普段はよくしゃべるウィリーも固く口を閉ざしている。



 核弾頭ミサイルは、各飛行隊の隊長に2発ずつ装備されていった。これらのミサイルは、すべてグレイス大佐の命令で発射しなければならない。
 パイロットたちは、そのスイッチにならなければならなかった。

 核弾頭ミサイルが愛機に搭載されていく様を各飛行隊の隊長たちは隊員とともに満足げに眺めた。それはグレイス大佐お抱えの部隊もそうだったし、「ジェラール」隊の隊長となっていたコストナー大尉も同じようであった。
 皆、敵に報いる事や倒す事にとらわれているようだった。シェイファー少佐がいなくなってから全ての事が変わってしまった。
 そう思っていても、自分には皆を諭す力も理屈もなかった。ただ飛んでいただけで、最期まで助けられただけの自分に……

 作業が終わり、現在搭乗員たちをまとめる立場にあるグレイス大佐は皆を集めてこう言った。
 「諸君、いよいよである! 諸君らの持てる力を持って敵を倒せ!
 それが散っていった戦友たちのためにもなる。他の事は考えるな!」
 と。

 パイロットたちは皆、怨嗟で出来た決意をしっかりとさせた眼差しで大佐を見たが、アランとウィリーはどうしてもそれができずにそこから顔を背けた。



  Next-次へ-  

  Prev-戻る-