06  イニア島南部  クルス・オクタゴーノ

 後方で、要塞からの砲火をかいくぐってその中心部に肉迫した敵のUCAVの1機が突然、まばゆい光と共に消えた。そして、その光はそこから急速に広がり、自分たちに迫って来た。



 反転し損ねたF/A-47は前方からすぐにその光に飲み込まれ、退避に入った機体も次々と飲み込まれていった。光に包まれたら最期、業火に焼かれて戻っては来れない。

 必死にその光から逃れた。被弾した機体のアフターバーナーを限界まで噴かす。安全な場所までまっすぐに。

 そこへ突然、アラートが鳴り響く。正面の直上から3機の無人機が迫る。死を恐れない機械が死から必死に逃れる自分たちに向かって……
 だが、上方向への迎撃も回避も出来ない。操縦桿を正面以外のところへ向ければ、後ろの光に飲込まれるのは必至だ。皆、それは同じ。

 ――撃たれる。

 と、絶望した。今回ばかりはどうしても墜ちる。

 すると、前を飛んでいたF/A-47が上昇し、直上の敵機を攻撃した。
 あの前にいたのはシェイファー少佐の機。そんな余裕などないはずだ。
 だが、少佐は上昇した。
 「必ず連れて帰ってやる」
 少佐の言葉が頭によぎった。
 上昇したF/A-47は、見事に迫る3機の敵機を見事に撃墜して見せたが、後ろからの光に追いつかれ、一瞬で粉砕された。

 ロバート・シェイファー少佐は、その業火の光の中に消えていった。
 自分たちはまた、それから逃れようとただ飛んでいるしかなかった……



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