05  エレラルド海  空母「エクテシア」

 開戦後に連合軍によって機能の修復、強化が行われたクルス・オクタゴーノは、イニア島南部のクルス地方に存在する対弾道弾迎撃用のレールガンが多数配備された要塞で、その迎撃率はほぼ100%だとされる。前大戦時にメサリナによって建設され、ラダン連邦による連合国への長距離弾道ミサイル(ICBM)攻撃をも何度も阻止している。



 しかし、前大戦では、ラダン連邦軍の度重なる要塞への空爆によって戦闘力が削がれ、ルージアをはじめとする各国を最後まで守れなかった過去ももつ。高精度のレールガンを有する要塞であるが、多方面から反復して襲い掛かってくる敵には脆弱である。
 IRBMを手に入れても、抑止力が働いていては力の誇示は出来ない。加えて戦線が膠着してしまったルージア軍は、今回このクルス・オクタゴーノへの直接攻撃に出て来たのであろう。
 イニア島へのルージア空軍の大編隊接近の報を受け、連合軍はその持てる戦力をすべてを動員して迎撃にあたる。当然、この戦闘に第2空母航空団も投入された。

 静かだった空が再び大きく荒れようとしていた。



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