――戦争に人は不要だ。

 かつて、ルージアの軍人がそう言った。
 戦場で散る命。大量破壊兵器の使用の判断。すべてが機械に委ねられた。それですべてが上手くいくはずだった…

 ――あの大地も空も、今や人類のものではない。

 ルージア連邦の無人機部隊をもとに発生した機械軍M.O.C(Machines that Oppose human being Clearly)。それは、今や3つの大陸を飲み込もうとしていた。

 人類以外からの核の脅威。  冷戦期に大量に製造された核兵器。それがM.O.Cの手に落ちて以来、人類はその人の抑止から外れた脅威に怯えながら生きている。
 戦略レールガンやABMの発達とM.O.Cの「報復以外での使用はない」という不確定な原則の中で人類はかろうじて生存していた。

 迎撃技術が進歩してもそれは完全ではない。M.O.Cがある日唐突に保有する大量破壊兵器を一気に使用すれば、人類は消滅する。
 そして、人類はM.O.Cの圧倒的物量を前に日に日に戦力をすり減らし、大地を追われていった。

 M.O.Cの目的は未だに不明。
 ただ、その人の制御から離れた機械は、大地も人も文明も蹂躙し、プラントを造り、数を増やした。それを繰り返して確実に世界を飲み込もうとしていた……