02  西フォリス海  蓬州国海軍A-MAs母艦「鳳光」

 フォリス大陸上陸から1ヶ月足らず。
 人類は、対M.O.C戦争で1ヶ月以上奪回地を維持した事がない。
 必ず、再び免疫のように現れた大多数のM.O.Cに押し返されていた。

 ここで負ければ、疲弊した戦力で戦線の維持は出来ないだろう。
 ルーフェニア領内に入られれば、東部戦線は崩壊して人類はさらに苦境に立たされる事となる。


 そして、それはあまりに突然の事であった。
 M.O.Cの逆襲に備えていた前線の部隊すべてからの交信が途絶えたのは。

 新型の巨大M.O.C。
 陸上戦艦ともいうべきそれを中心として、予想より遥かに早い、そして遥かに多い大挙として押し寄せた数万のM.O.Cに戦線は次々と突破されていった。



 急報はフォリス大陸上陸軍全軍に達せられ、ルーフェニア海洋上に予備兵力として展開する第1機動艦隊も即応体制となった。

 701、801大隊には、巨大兵器の側面からの撃破が司令部から厳命された。
 北岸の国連軍は先行する数万のM.O.Cで手がいっぱい。
 制空権を失いつつある状況下の中で巨大M.O.Cの撃破は一刻を争った。

 支援も期待出来ない中、詳細も判明していない未知の敵を数千の護衛のM.O.Cを突破していかなければならない。



 出撃前、大隊長のホンゴウ少佐は皆に語りかけた。

 「途中誰が倒れても、躊躇なく見捨て、1人でも多く敵に辿り着かなければならない…
  すまない、皆の命をくれ」と。

 「人の意志だけが何かを成し遂げる。
  それはつくりものには出来ない事だ。諸君らの意志が人と大地を守る事を願う…」と。

 今までと違う敵。その撃破が容易でない事は、すべての状況が物語っていた。
 そして、そこに多くの犠牲が伴う事も…



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